- 2025年10月9日
その不調は、ストレートネックが原因かも?
肩(首)の凝り、頭痛、吐き気、倦怠感、などの症状など。意外な関連性から紐解く自律神経と体の不調

「首や肩のこりは当たり前」そう諦めていませんか?
実はストレートネックは、単なる首の痛みだけにとどまらず、一見関係なさそうな体の不調を引き起こすことがあります。頭痛やめまい、手足のしびれ、さらには自律神経の乱れまで、その影響は全身に及びます。
この記事では、専門家の見解を交えながら、ストレートネックが引き起こす体の意外な不調と、その原因について掘り下げて解説します。
ストレートネックが引き起こす深刻な症状

ストレートネックとは、本来生理的にある頚椎の正常な(前方凸の)弯曲が消失し真っすぐ(ストレート)から、後方凸の弯曲(猫背姿勢)に変化している状態のことをいいます。頚椎の本来の前方凸の弯曲は、重たい頭(大人は4~6Kg、体重の約10%)を支えていくための大切な背骨の構造なのです。ストレートネックが重症化すると、首周りの筋肉の緊張が続き、血流や神経が圧迫されます。この状態が、以下のような多岐にわたる不調の根本原因となります。いったん強張ってしまった筋肉は長期にわたって厄介な症状を発症し続けるのです。
1. 頭痛・めまい・吐き気
首(頚部)の筋肉が緊張すると、血管が圧迫されて脳への血流が悪くなります。頚部の筋肉が緊張し強張ってしまうことで結果的に、慢性的な頭痛や、酸素供給不足によるめまい、ひどい場合は吐き気を引き起こすのです。
2. 手のしびれや麻痺
ストレートネックが進行し、首の骨(頸椎)が変形すると、そこを通る神経が圧迫されることがあります。この神経圧迫は、単なる筋肉のこりとは異なり、手のしびれや麻痺といった深刻な症状につながるため、重症化の危険なサインです。
3. 自律神経の乱れ
首は、呼吸や体温、血流などをコントロールする自律神経が通る重要な場所です。ストレートネックによって首の筋肉がこわばると、睡眠障害につながることも多く自律神経のバランスが崩れ、以下のような様々な症状が引き起こされることがあります。
- 精神的な不調:不眠、集中力の低下、慢性的なだるさ
- 身体的な不調:冷え性、消化不良、多汗症
これらの症状は「首こり病」とも呼ばれる頸性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)の可能性も指摘されており、重症化すると日常生活に深刻な影響を与えることがあります。
根本的な解決を目指すためのアプローチ

ストレートネックの有無の診断はX線撮影によってわかります。ただ、ストレートネックであっても無症状の方もいらっしゃいます。要はストレートネックは頚部の緊張が高まるリスクであり、そこに姿勢不良、長時間のデスクワーク、仕事による頚部への負担、加齢、など本人が気付かない外的要素が加わること、その状態を長引かせることで重症化します。
これらの不調を改善するためには、ストレートネックの根本原因を解決する必要があります。
自己判断は禁物: 首は多くの神経が通るデリケートな場所です。自己流の強いマッサージやトレーニングは、かえって症状を悪化させる危険があるため避けましょう。
正しい姿勢を意識する: デスクワークやスマホ操作の際は、画面を目線の高さに合わせ、背筋を伸ばし、あごを軽く引く姿勢を習慣づけましょう。
専門家への相談: 痛みやしびれがひどい、またはセルフケアを行っても症状が改善しない場合は、放置せずに整形外科などの医療機関を受診しましょう。重症化すればうつ病に発展することもあります。専門家による正確な診断と適切な治療を受けることが、根本的な解決への一番の近道です。
治療:内科や脳外科などの疾患が否定されている場合には、まず頚部の筋緊張を緩和することが治療となります。
- 内服療法:痛み止めや睡眠導入剤で頚部の筋緊張や頭痛を和らげる
- 運動療法:ストレッチや体操によって固まった筋肉に動きを与え、姿勢の改善につなげていく
- 物理療法:低周波治療や頚椎けん引療法、ウォーターベッド(水圧によるマッサージ)などの治療機器を用いて筋緊張緩和と血流の改善する
単なる肩こりだと思っていた不調が、全身倦怠感やうつ状態など自律神経障害へと重症化することもあります。これらがストレートネックに関連している可能性は十分にあります。体のサインを見逃さず、重症化する前に専門家へ相談することが大切なのです。