• 2026年10月8日

膝人工関節置換術後のリハビリの重要性 ―人工関節術後のよりよい生活のためにストレッチの利いた膝をつくろう!―伸びきらない膝はリハビリの余地あり

皆様こんにちは。

田所整形外科クリニック院長の丸野です。

「手術は無事に終わったのに、膝の動きがなかなか改善しない」

「リハビリを途中で終えてしまったが、もっと良くなれるはずなのに…」

そのようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか。

膝人工関節置換術は、変形性膝関節症や関節リウマチなどで傷んだ膝関節を人工のものに置き換える手術です。

当院では、膝関節全体を置き換える「人工膝関節全置換術(TKA)」だけでなく、一部のみを置換する「人工膝関節部分置換術(UKA)」も患者様の状態を見極めて選択して手術を行っています。UKAはTKAよりも侵襲が小さく術後のリハビリもやりやすく、スムーズといった傾向があります。これにはTKA適応の方に比べUKAの方の方が術前の変形が少なく膝機能が保たれているといった術前の状態も関係します。

TKAやUKAは痛みの軽減や歩行機能の回復に高い効果をもちますが、手術さえ受ければ終わり——ではありません。術後のリハビリテーションこそが、”よりよい膝の生活”を取り戻すための最重要ステップです。

当院では、私自身が執刀した人工関節術後の患者さんの術後リハビリの他、他院で手術を受けられた後にリハビリが十分に行えていない患者さんや、遠方の病院で手術を受けたために術後の通院リハビリが困難になってしまった患者さんを積極的に受け入れています。

今回は、なぜ術後リハビリがこれほど重要なのか、そしてリハビリが不十分だとどのような問題が生じるのかを、わかりやすく解説します。

■1. 膝人工関節置換術とはどのような手術か

膝人工関節置換術とは、加齢や疾患によってすり減った膝関節の軟骨・骨を切除し、金属やポリエチレンなどの人工関節に置き換える手術です。主な対象となるのは、保存療法(薬物療法・注射・リハビリなど)では痛みや変形が改善しない重症の変形性膝関節症や、関節リウマチなどの患者様です。 手術自体の成績は近年著しく向上しており、多くの患者さんが「痛みが消えた」「歩けるようになった」と実感されます。

しかし、人工関節を体に”なじませ”、筋肉を鍛え直し、正しい動作を身につけるためには、系統的なリハビリテーションが欠かせません。手術はゴールではなく、リハビリへのスタートラインなのです。

■2. 術後リハビリはなぜこれほど重要なのか

(1)入院中から始まる早期リハビリ

当院が手術を行う「あんしん病院」のケースでも、手術翌日から理学療法士とともに立位および歩行器での歩行リハビリを開始します。術後2~3日目で杖歩行、4~5日目で階段昇降の練習へと段階的に進んでいきます。 しかし、約1~2週間の入院期間を経て退院されるケースが多いですが、これはあくまで「リハビリの入口」に過ぎません。 そこからが本当のリハビリの始まりです!

手術後1~2週の入院時期は膝の腫れが強く強い炎症期です。この時期は炎症を治めることが最重要です。また、術後の痛みで筋肉は伸び縮みが出来ない強い筋緊張状態にあるため、これを緩みていく初期段階のリハビリテーション(リラグゼーションが主)です。

(2)退院後も続く、本当のリハビリ

退院後の通院リハビリや自主練習こそが、機能回復の鍵を握ります!

術後3か月程度で人工関節が体になじみ、日常生活動作に支障がなくなるとされますが、それまでの間に適切なリハビリを継続できるかどうかで、最終的な回復の質が大きく変わります。具体的には以下の効果が期待できます。

  • 膝周囲の筋力(大腿四頭筋・ハムストリングス)の筋収縮および弛緩:この時期は筋力が必要との思い込みで負荷をかけることは避けてください。
  • 膝関節の可動域(屈曲・伸展)の改善:可動域改善は筋緊張の緩和と収縮の改善を表します。
  • 正しい歩行パターンの習得:膝関節を硬直させたまま歩く強張った歩行(Stiff Gait)で距離を歩くことは間違った筋肉の使い方が癖になります。筋肉が疲労感が強く結果的に歩行距離が伸びません。
  • バランス能力と転倒予防の向上
  • 社会復帰・スポーツなどの趣味活動への早期回帰

■3. リハビリが不十分だとどうなるのか

リハビリを途中で終了したり、通院回数が不十分だったりすると、さまざまな問題が生じる可能性があります。

関節の拘縮(こうしゅく)

手術後に適切な可動域訓練を行わないと、関節周囲の組織が硬くなり、膝が伸びにくくかつ曲がりにくくなる「拘縮」が起こります。拘縮が進行すると、後から回復させることが非常に困難になります。

 特に膝を伸ばす(伸展)筋肉である大腿四頭筋が上手く使えません。人は膝に痛みがあれば踏み込むことが出来ず膝を「く」の字に曲げたまま固定して歩く(Stiff Gait)癖がつきやすいのです。これは大腿四頭筋を動かさず(固定して)歩くことを意味します。

膝関節の「伸展(伸ばす)動作」は大腿四頭筋の収縮、「屈曲(曲げる)動作」は大腿四頭筋の伸長、により行われます。そのため、大腿四頭筋の動き(伸張性)が膝の動き(快適さ)を決定します。

 術後に膝が伸び切らない方はまずしっかり伸ばせるようになること、そのために大腿四頭筋の伸縮を促す訓練が最重要です。

筋力の低下・歩行異常

手術で痛みが取れても、筋力トレーニングを怠ると大腿四頭筋などの膝を支える筋肉が弱いままになります。その結果、歩行が不安定になり、転倒リスクが高まります。

早急に筋力をつけたいと言って負荷のかかる筋トレを行う方がいらっしゃいます。しかしこれは間違いです。膝周囲の筋力の堅さが生じてしまい、結果的に膝関節の可動域が十分に改善しません(伸びきらない、よく曲がらない)。

「筋力」とは、よく伸びてよく縮む反応性の良い筋力、と考えてください。このような柔軟な筋肉は他の筋肉との協調運動もスムーズンなり、良い歩行(しかるべき筋肉を使うことが出来る歩行)が獲得できて筋力も次第と改善します。

 『柔軟な筋肉』をまとうことは、ストレッチ素材のシャツを着て運動できるようなものです。ストレッチの利かないシャツで運動できないですよね!?

日常生活・QOLの低下

「手術したのになぜ良くならないのだろう」という焦りや不安が活動意欲の低下につながります。膝関節だけではなく膝を動かす筋肉、歩行に必要な筋肉のメカニズムをしることで漫然としたリハビリから脱却し、効率的なリハビリが行えます。また、現状を理解することは不安感が改善することにつながり前向きになることが出来ます。

■4. こんなお悩みを抱えていませんか?

私たちのクリニックには、以下のようなお悩みを抱えた患者さんが数多く来院されています。

  • 他院で膝人工関節手術を受けたが、リハビリの経過が思わしくない
  • 「リハビリ終了」と言われたが、まだ膝の動きや歩きに不満がある
  • 遠方で手術を受けたが、術後の通院が大変になった
  • 通院の時間的負担からリハビリの頻度が下がり、回復が遅れている

このような患者さんに、ぜひ田所整形外科クリニックをご活用いただきたいと考えています。手術を受けた病院が遠くても、当院でリハビリの継続・フォローアップを行うことが可能です。

■5. 田所整形外科クリニックでできること

(1)他院術後のリハビリ引き継ぎ

他の医療機関で手術を受けられた後のリハビリを積極的にお受けしています。現在の手術部位の状態・可動域・筋力を丁寧に評価し、個々の患者さんに合ったリハビリプログラムを立案します。

(2)経験豊富な5名の理学療法士による専門リハビリ

当クリニックでは、5人の理学療法士(PT)が運動療法を行っています。患者様の状態を慎重に確認し、運動機能の早期回復を目指して段階的かつ丁寧に対応します。

(3)物理療法との組み合わせ

従来の温熱療法、電気治療や牽引などの物理療法に加え、経験豊富な専任の理学療法士による運動療法を組み合わせることで、痛みの緩和と機能回復を効率よく進めることができます。

(4)整形外科専門医による診察とMRI検査連携

リハビリだけでなく、整形外科専門医が診察を行い、回復状況の確認を行います。精密検査が必要な場合は「あんしんクリニック」でのMRI検査予約を行うなど、連携医療機関による安心の診断体制を整えています。

(5)通いやすい診療体制

当院では午前・午後・夜間(19時まで)の3部制診療を行っており、土曜日の午後(13:00~15:00)も対応しています。また、5台分の駐車場も完備しておりますので、お車でも安心して通院していただけます。

■6. 術後リハビリで目指すゴールとは

膝人工関節術後のリハビリが目指すのは、単なる「歩けるようになること」だけではありません。痛みのない安定した歩行の獲得や、趣味・スポーツへの復帰、そして転倒リスクを抑えた安全な生活の実現です。適切な体重管理と運動習慣を維持することが、人工関節を長期間良好な状態に保つためにも重要です。

■7. よくある質問(FAQ)

Q. 手術を受けた病院が遠方でも、当院でリハビリを受けられますか?

A. はい、受けられます。診療情報提供書(紹介状)があればより円滑ですが、なくてもご相談いただけます。

Q. 「リハビリ終了」と言われましたが、まだ通えますか?

A. 対応可能です。退院後・リハビリ終了後であっても、機能改善の余地は十分にあります。

Q. リハビリはどのくらいの頻度・期間が必要ですか?

A. 術後の経過によりますが、通院リハビリは術後早期は週2回、落ち着けば週1日程度を目安に、並行して自宅での自主練習を継続していただくのが理想的です。

Q. 高齢でもリハビリの効果はありますか?

A. あります。年齢を理由に諦める必要はありません。

Q. 院長先生に手術をお願いし、その後リハビリに通うことはできますか?

A. はい、可能です。当クリニックでの手術をご希望される患者様については、症例経験の豊富な院長が責任をもって「あんしん病院」で手術を行わせていただいています。入院期間は約1週間となり、退院後は当クリニックで週2日程度のリハビリを行っていただく流れとなります。

■まとめ:手術の効果を最大限に引き出すために

「手術は終わったのに、もっとよくなれるはず」

そのお気持ちは正しい感覚です。術後のリハビリが途中で終わってしまった方、遠方での手術後に通院リハビリが続けられなくなった方は、ぜひ当院へご相談ください。

当院は「すべては患者様のために」を理念とし、出来るだけ速やかに痛みを取り除き、元の生活やスポーツに復帰できるよう全力でお手伝いさせて頂きます。あなたの膝の回復を最後までしっかりサポートいたします。

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