• 2026年2月11日

足の痛みの意外な原因?「扁平足」が膝や腰にもたらす影響

-誰もが加齢とともに「扁平足」が進行し、外反母趾の主な原因となるのです!!

「最近、長く歩くとすぐ疲れる」

「朝起きて最初の一歩が痛い」

そうした足のトラブルの原因が、実は足の土台が崩れている「扁平足(へんぺいそく)」にあるかもしれません。扁平足は単なる「ベタ足」の形の問題ではなく、全身の運動メカニズムに関わる重要な要素であり、その影響は足裏や膝、さらには腰にまで及ぶことが、整形外科の分野で指摘されています。

今回は、扁平足が身体の様々な痛みを引き起こすメカニズムと、ご自宅でできる対処法についてお伝えします。


1. 扁平足とは? — 土台のアーチが担う役割

扁平足の定義と構造

扁平足とは、足の裏にある土踏まず(内側縦アーチ)が低下または消失した状態を指します。足には内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3種類のアーチ構造があり、これらは体重を支えたり、歩行時の衝撃を吸収したりする重要な役割を持っています。

衝撃吸収機能の低下が連鎖反応を生む

扁平足になりアーチが崩れると、本来あるべき衝撃吸収機能が低下します。さらに、足関節が過剰に内側に倒れ込む「過剰回内(オーバープロネーション)」が起こりやすくなります。

この過剰回内が原因で、足にかかったねじれやストレスが膝関節、股関節、そして腰へと連鎖的に伝わり、全身の姿勢にも影響を及ぼす可能性があります。


2. 扁平足が引き起こす「意外な」全身のトラブル

扁平足は、足部の不安定さから、以下のような様々な症状を引き起こします。

足底筋膜炎と足部の疲労

足底筋膜炎: 土踏まずが衝撃を十分に吸収できなくなるため、足底にある筋肉(足底筋)に負荷がかかり、炎症や小さな断裂を繰り返すことで足底筋膜炎を引き起こしやすくなります。特に歩き始めや立ち上がりの時に痛みを感じやすいのが特徴です。

筋の過緊張: アーチ構造が崩れると、土踏まずを吊り上げる役割を持つ後脛骨筋などの筋肉が過剰に伸ばされてしまい、長く立ったり歩いたりすると土踏まずや脛まわりが疲れるといったトラブルが出ます。足関節の内側の壁となってくれている後脛骨筋が効かなくなると内側の支える作用が無くなる「後脛骨筋不全」となります。このような状態では靴やスニーカーの踵が内側につぶれてしまいます。足首(踵)がどんどん内側に倒れていくの状態で歩行しなければならず歩行時の痛みが出現し、長時間歩行が困難となります。

この足首が内側に倒れてしまう程度が軽いうちに内側にアーチがある中敷き(インソール)を作成して正常な動きに戻してやる必要があります。足首が過度に内側に倒れてしまう(高度な後脛骨筋不全)と力のかかり方(ベクトル方向)が常に内側に向いてしまうために正常な方向に戻せなくなってしまいます。

②外反母趾:外反母趾は扁平足から始まります。扁平足によって内側アーチが低下~消失すると外側(小趾側)に体重が乗らず、内側(母趾側)に体重がかかります。すると母趾の付け根から内側に倒れるように(回内)体重がかかり続け外反母趾となってしまいます。内側縦アーチと横アーチが維持されることが重要なのです。外反母趾は母趾だけの問題ではないのです。外反母趾の治療はまず扁平足の治療から行う必要があります。

膝、股関節、腰の痛み

足元の不安定さが全身に連鎖的に作用することで、姿勢が崩れ、膝や股関節、腰の痛みや疾患に繋がる場合があります。

膝のトラブル: X脚の人は足の内側に体重が強くかかるため扁平足になりやすく、膝が過度に内側に入ることで変形性膝関節症や鵞足炎などのトラブルにつながるリスクが高まります。

腰痛: 足部のバランスが崩れることで骨盤にも影響が及び、腰痛につながる可能性もあります。

神経症状や他の足の病態

足底の荷重分散がうまくいかないことにより、神経が圧迫される絞扼性神経障害が生じることもあります。

モートン病

足底アーチが低下すると、足趾の付け根の部分(MP関節)の特に第2、3趾に負担がかかり、神経が圧迫されてしびれが出現します。

足根管症候群

扁平足など内側に荷重がかかる状態で運動量が増えると、足首の内側のくるぶしの後方を通過する後脛骨神経が障害され、足底にしびれが出現することがあります。


3. 扁平足の治療と予防:土台を支えるケア

扁平足による痛みや疲労を軽減し、これ以上悪化させないためには、適切なケアとリハビリテーションが不可欠です。

治療の柱①:インソール(装具療法)の活用

扁平足の痛みや疲れを軽減する最も有効な手段はインソール(足底板)です。

機能: インソールは、足のアライメントを整え、舟状骨を持ち上げるなど、アーチが崩れないようにサポートする構造を持っています。

構造の重要性: インソールは体重に逆らって足の構造を支えるため、中足部から後足部にかけてある程度の硬さが必要です。硬い素材で作ることで、体重がかかっても足の構造が潰れず、筋肉の負担軽減や悪化予防につながります。

医療機関での作成: 当クリニックでは、扁平足や足底腱膜炎の治療目的で、医療用のオーダーメイドインソールの作成を行っています。

オーダーメイドインソール作成時の風景

扁平足の治療は外反母趾の治療でもあります。採型の1週間後にインソール(アーチサポート)が出来上がり装着を行います。普段から履き慣れている靴(スニーカー)を持参して頂きます。

治療の柱②:運動療法とリハビリ

扁平足の多くは、足の裏の筋肉の筋力低下によりアーチを保持できないことが原因となるため、運動療法が重要です。

足指・足裏のトレーニング: 足指でタオルを手繰り寄せるタオルギャザーや、足の指をしっかり握る・開くを繰り返すグーパー運動などが推奨されます。

つま先立ち: 前後左右にブレることなくまっすぐ上に上がることを意識したつま先立ちは、足のアーチを鍛えるのに効果的です。

正しい姿勢と歩き方: 理学療法士による指導の下、踵側にしっかりと体重をかけて立つ練習や、正しいフォームで安定して歩くための歩行訓練を行うことで、症状の軽減や機能の回復を図ることができます。

予防の基本:体重管理と靴選び

肥満を防ぐ

肥満は扁平足の原因の一つであり、足に負担がかかりリスクが高まるため、食生活の改善と適度な運動による体型管理が大切です。

適切な靴の選択

靴選びでは、インソールの効果を最大限に生かすためにも、回内を防ぐ踵回りが硬い靴(カウンター)、靴底がしっかりしていてねじれない靴、紐やベルトなどで甲をしっかりと包む靴を選びましょう。


4. 健やかな未来のために — 早期診断を

扁平足は若年者では無症状なことが多いですが、中・高年になって起こる扁平足は、単純な老化だけでなく、関節リウマチや後脛骨筋腱機能不全などの病気の兆候である可能性があり、注意が必要です。

「歩くとすぐ疲れる」「足裏が痛む」「膝や腰の調子が悪い」など、身体の不調が足元から来ているかもしれないと感じた場合は、「年のせいだから」と自己判断せず、一度整形外科専門医にご相談ください。

早期に正確な診断(必要に応じてMRI検査など)のもとで治療を開始し、適切なリハビリテーションに取り組むことが、皆様がいつまでも健康な足で快適に歩き続けるための第一歩となります。

田所整形外科クリニックについて

当クリニックでは、整形外科、小児整形外科、スポーツ整形外科、リハビリテーション科として、扁平足などの運動器の障害や痛みの専門的治療を行っています。経験豊富な理学療法士が在籍しており、運動療法や姿勢指導を通じて、患者様の機能回復を全力でサポートいたします。

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